私はアメリカのInternational Harp Therapy Programを2016年から学び2020年にCertified Therapeutic Harp Practitioner(CTHP)となりました。
ハープセラピーでは病床の人やそのご家族、高齢者施設のご老人、妊婦さんや赤ちゃんなどにハープを使い癒しや慰めの音楽を弾きます。
例えば病床にいる人のベッドサイドでハープを即興で弾きその人の不安な気持ちや恐れ、痛みなどから気持ちを和らげしばしの休息を与えます。
また、音楽でリラックス効果を与え、呼吸を深くしたり筋肉を緩みやすくして緊張を緩和することで張り詰めた神経を緩ませます。
リラックスすると脳波はα波の状態になり、βエンドルフィンが脳内に分泌されます。
エンドルフィンはモルヒネの30倍の鎮痛作用があると言われており、快感や陶酔感をもたらします。
音楽的な手当が副交感神経を優位にしたり、免疫グロブリンAのレベルを上昇させ免疫力を上げることは研究で明らかになっています。
また、辛い気持ちや不安、悲しみを浄化させるのも音楽が持つ偉大な力です。
私が病院でハープセラピーのインターンシップをしている時、こんなことがありました。
車椅子に乗ったご高齢のお父様と病院の見学に来たという私と同じ位の年頃の女性とロビーでお会いしたので、もしよければハープを聴いてもらえませんか?と声をかけました。
ロビーの椅子にお二人に座ってもらい、最初にモーツァルトの曲を弾きますね、と言うと、娘さんは、「お父さんクラッシックが好きだものね」と、お父様に話しかけ一緒に聴いてくれました。
次に、「いつも何度でも」を弾きはじめると、すすり泣く声が聞こえてきて、娘さんが泣いていました。終わった時に「何か、すごく癒された・・・」と泣きながらストレートな言葉で私に感想を伝えてくれました。
その時私が感じたのは、この娘さんは体調の悪いお父様への心配や不安の気持ちが心の中に沢山あっただろうけど、病院探しや見学などやらなくてはならないことも沢山あって、そんな張り詰めた気持ちを少し立ち止まって外に出すことができたのかな、ということでした。
Music express that which can not be put into words and which can not remain silent
-Victor Hugo
音楽は人間が言葉で言い表せないこと、しかも黙ってはいられないことを表現する
ーヴィクトル ユーゴー
これは私がハープセラピーの勉強中に出会った言葉ですが、ハープという楽器を使って人に寄り添い癒す、慰めるということはまさしくこのことだと思っています。